映画ラブライブの感想

 毎週のように雨が降った。激しい雨は少なかったが、だらだらと降り続く長雨が多かったように思う。中途半端な優しさが梅雨らしい。色あせた紫陽花が崩れそうになっている。やがて夏らしい夏が来るだろう。

 ラブライブの映画を観た。聞き覚えのあるピアノのメロディと、タイトル文字が出てくるだけで涙が出そうになる。思い返してみれば、この一年はかなりラブライブに浸かっていたように思う。アニメから入って、スクフェスをやって、ラジオを聞くようになった。今でも印象深いのはアニメのファーストライブのシーン。それまで、歌とダンスの練習をしたり、チラシを手配りしたり、努力を積み重ねてきたシーンがあったから、成功するのだろうと思っていた。幼稚園のお遊戯会みたいな、受け入れられてしかるべき舞台なのだろう。そう高をくくっていた。けれど、幕が上がってみれば、がらんどうの客席。目をうるませて立ちすくむ三人。思いがけない厳しさに驚いた。いったいこれからどうするんだ、と急激に引きこまれていった。μ'sというグループが生まれて、失敗して、笑って、成長していく姿を見ているのは、本当に面白かった。

 映画では旅をする九人の姿や、沢山のライブシーンが見れて満足だったのだけれど、一度観たくらいではよくわからないシーンもいくつかあった。特に、穂乃果が水たまりを飛ぶシーン。「とべるよ」と声をかけた女性シンガーは何だったのだろうか。

 映画の中でμ'sが解散することははっきりと宣言された。スクールアイドルだったということ、短い時間の中で、学校の中で活動してきたことを大切にしたいと言っていた。最後のライブが流れているわずかの時間が、今までにないほど鮮やかに感じられた。μ's の物語はこれで終わる。そう思うと、言いようのない焦りのような、時間がボロボロとこぼれ落ちていく様が見えるような気がした。砂が落ちるような、花火が弾けるような儚さだ。ライブの映像が切り替わり、スタッフロールが流れる。やがて劇場は暗くなった。

 終わった。すっと力が抜けた。こういう受け止めかたは初めてかもしれない。アニメの最終回は涙がでるほど心を揺さぶられたものだけれど、こうも簡単にスイッチできるのが、自分でも奇妙に思えた。それでも、だいたい物語を終えれば、なにか一言二言と語りたくなる。友人に向かっていつものごとく、整理されてない頭でなにか適当な事を言った。そしてすぐに家路につく。また何事もなかったように日常と仕事が始まる。現実は少し冷淡だ。