歴史物を読もう

 最近 kindle で適当に本を読んでいる。バックライトがあるので、仰向けでも暗くならないのが良い。おかげでゆっくりと樽のような体形に近づいている。肉を避けて野菜を食べるようにしなければ。まあそれはさておき。無料本などもあるので、浅く広く読むつもりだったのだが、原泰久の「キングダム」が面白くて、思わず一巻から三十三巻(最新刊)まで読み進めてしまった。秦の始皇帝が、中華統一するまでの戦いを描いた話。びっくりするほど個性的な武将が出てきて、苛烈な戦いを繰り広げている。中でも秦の怪鳥・王騎将軍が一番好きだ。「ンフフ」とか言いながら要所要所に出てきて、超人的な武力と知力を発揮する。彼がしゃべるときは筆のようなフォントになっていて、これがまた謎の味わいを醸し出す。中国の戦国時代はこんなに面白かったのか、と思い知らされた。もちろん漫画だから誇張してあったり、創作も含まれているんだろうけど、この熱さは三国志にも引けをとらない。

 歴史物の流れで三国志を思い出し、高校時代に読んだ吉川英治三国志に思いを馳せる。あれは面白かった。おかげで、読めもしない漢文のテストでそこそこ良い点が取れた。ならばと今度は日本の戦国時代に目を向けて吉川英治の「新書太閤記」を読み始めることにした。言わずと知れた豊臣秀吉の生涯を描いた長い長い話。この中での秀吉は子供時代から苦労し通しで、かわいそうになってくる。しかしめげず折れず、色んな辛さを知り、かえってひたすらにへりくだる。少しもひねくれたところがなくて、ばかみたいに陽気で人懐こい。物おじしない。頭も冴えていて、口八丁手八丁で無理難題をくぐり抜ける。面白い。会ってみたい。こういうところから自分にとっての目指す所、理想の人格を見つけるのもいいのかもしれない。織田信長明智光秀、若き日の徳川家康も登場してきて、その周りの物語もあるので、歴史のことにちょっと詳しくなった気がして、これもまた楽しい。

 教科書にはのってないが、こういうのは教育に良いんじゃないかなと思う。歴史を学んで「何が起きたか」を覚えても、心が動かされないのでポロポロと抜け落ちていく。特に戦国時代は、出来事だけを見ると「なんでこんな戦いを起こしたんだろう?」とか「なぜここで戦争に勝てたんだろう?」というようなことがわからない。おそらく指導要領にも含まれてない。なぜ本能寺の変が起きたのか? 教科書を見てもさっぱりわからないし、ずっと小国の主だった徳川家康が、なぜ日本を支配するほどの権力を得たのかもわからない。ただ運が良かっただけに見える。でもそれだけじゃないはず。そういう気持ちを満たすのには、歴史小説や漫画がうってつけだ。なるほどこんなドラマが有ったのか。これを知らないなんてもったいない。そう思えるようなものがきっと見つかると思う。