ガールズ&パンツァーの感想

 寒さに凍えて、病人のように毛布にくるまって過ごしている。街路樹のイチョウが葉を落として丸裸になっていた。生物が活動するのに適した季節ではないということだろう。人間だって休んでいるべきだと思うけれど、社会は一定の流れを保たなければならないらしい。慣性のまま動くほうが、燃費は良いということなのかもしれない。

 動きたくないので、時間つぶしにガールズ&パンツァーを見ていた。単純な萌アニメかと思っていたけれど、想像以上にリアルな戦車戦を繰り広げていたのでびっくりした。各乗員の役割が明確に分かれているところや、戦車の装甲と火力によって戦い方が変わったりするところなど、なかなかに具体的で、かつ広がりがあるように思えた。全く知らない領域の話だったから、すべてが新しく感じられて得した気分だ。単純に、戦車が轟音を立ててぶつかり合っているのを眺めるのも、迫力があって良い。

 全編面白かったのだけれど、なんとなく印象に残っている場面がある。最終話の一つ手前、主人公の女の子が一年生チームを助ける場面だ。ここで、一話からずっと引きずってきたそのトラウマをようやく乗り越えたんだな、とわかる。成長というものは、このようにして描かれるのか、と妙に納得した。

 人は何かを失敗する。それはしかたがないことだけれど、忌々しいことに、その失敗を引き起こした状況が再度訪れることがある。そんなときどのように振る舞うのか。過去の失敗がちらついて、慄き逃げ出すかもしれない。もはや成功しなくて良いのだと諦めるかもしれない。練習や決意など過去と違った自分を支えに、立ち向かうかもしれない。いずれにしても、自分がどう変化したのか、ということが浮き彫りになる。まるで誰かに試されているかのようだ。