俺に働けって言われても酉

一言で言うと

冒険者ギルドを経営することで、主人公の抱えた借金を返済していくゲーム。

あらすじ

あなたは、家に引きこもって生活している。家賃の支払は滞り、膨大な借金を抱えるようになった。ある朝、あなたの住むあばら屋へ大家の娘マクラツムが訪れた。働こうとしないあなたにうってつけの仕事がある、と彼女は提案する。こうして、冒険者ギルドの経営者としての道が開かれた。

ゲームの流れ

  1. 契約金を払って、冒険者を雇う。冒険者によって職業や性格が異なる。
  2. 冒険者を草原、森、山、地下迷宮、洞窟、廃墟などのダンジョンに派遣する。
  3. 冒険者はダンジョンの植物や鉱石を採取したり、モンスターを倒したりする。
  4. 冒険者が持ち帰った戦利品を受け取る。それらを売却することで収入を得る。
  5. 特定条件を満たすと、モンスターを討伐した報奨金を得ることもできる。
  6. 月末に冒険者へ給与を支払う。また、同時に借金の返済と家賃の支払いを行う。
  7. 最初に戻って繰り返し。冒険者は解雇しないかぎり契約は継続する。昇給の陳情も頻繁に飛んでくる。

おもしろいところ

普通のRPGと大きく違っているのは、冒険(上の節で言う所の3番目)でプレイヤーが一切干渉できないこと。だから「冒険の前準備」に力を尽くすことになる。装備を整えさせたり、モンスターの弱点を調べたり、冒険の方針(アイテムを探し優先 or モンスター討伐優先)を決めるのに時間を使っていく。

冒険者はサポーターを含めて、最大八人で一つのパーティーを組む。パーティをたくさん組めば、複数のダンジョンを同時攻略することができる。ここで全体の計画性をもって割当を決めていくのが面白い。たとえば「海底神殿」という最先端の難しいダンジョンには、利益を度外視して戦力を集中したエース部隊を向かわせる。育成中の部隊は比較的易しい「太陽の森」へ連れて行く。全体で赤字とならないように「ロイヤルガーデン」で高収益のモンスター狩りを行う。そんな配置ができる。そこには、マネジメントしている感覚がはっきりあって、そこが味わいがあるところだなと感じる。

このゲームを攻略していく上で、なにが重要なのかということを考えていた。一番大切なことは「利益が出る」ということだと思う。もちろん、遊び方は人によって自由だから、それが唯一の答えではない。けれど、僕はこのゲームの肝はそれだと考えた。RPG で遊んでいたら利益が出ることを必死に考えていたなんて、実に面白いことだと思う。その視点で進めていくと、他のゲームではあまり見かけないプレイングが見られる。

  1. 成長したら解雇(昇給しすぎてコストに見合った働きができなくなる)
  2. 新米に重たい仕事(給与が安いので使い倒す)
  3. ドラゴンライダーのタクシー(移動コストを減らせる。成長させると給料が上がるので育てない)
  4. 死ぬまでダイヤ採掘(飛び抜けて高収益。それ以外の仕事は与えられない)
  5. 騎士一人旅(防御力が高いので一人で冒険できる)
  6. 魔法使い一人旅(攻撃力が高く全体攻撃を持つので被弾せず冒険できる)
  7. 乱獲されるボスモンスター(高収益。特に、お供がいるフェンリル等)

実のところ、初回プレイでは借金まみれになって、立ちいかなくなってしまったのだが、それもまた面白い経験だったなと感じる。最初は一度限りのボーナス(ボスモンスターの討伐ボーナス、ダンジョンの地図完成等)があるため、雑にプレイしていても黒字になる。しかし、ボーナスが枯れてしまうと、赤字になる。また、使えない冒険者だなと感じながらも、義理と人情で雇い続けていると費用がかさんでいく。そうして少しずつ赤字が広がっていく。借金の利息分さえ払えなくなったら、もう立ち直る事はできない。

ストーリーはやや平坦な気もするが、終盤には見どころがある。借金を返済した後、どこへ行くのか、どうなろうとするのか。ということを少しだけ考える。引きこもりという立場の主人公設定だと、暗く鬱な展開になりそうなところだが、明るく痛いところに触れないように、茶化してくれる大家との関係がとても良いと思う。

まとめ

収益に関してシビアな判断を突き詰めていくのが面白かった。他では経験できないマネジメントのおもしろさがよく出ているゲームだと思う。