ゆるりと哲学史を聞く

 先輩を訪ねていろいろと話を聞いた。まずはギリシャ哲学の話。最初はソクラテスが、色々なことを否定して回っていたそうだ。私達は正しいことを何も知らない。そういう無知の知を説いた。けれど、そのことは国家の批判につながってしまったり、統治に悪い影響があるとみなされ、最後には処刑されてしまった。それでも無知の知を、言い続けたというから、かなり強い信念を持った人だったらしい。(肉体的にも強かったとか)

 ソクラテスは色々なことを論理的に否定するけれど、では何が正しいのかということに言及した記録は残っていないらしい。そこで出てくるのがプラトン。彼はイデア論を生み出したそうだ。イデア論というのは概念と実態を区別した考え方だ。人が異なる「もの」に対して、共通の認識を持つことができるのは、その「もの」を定義したイデア界を参照しているからなのだという。ちょうど、オブジェクト指向プログラミングで言うところのクラスとインスタンスの関係に似ている。(この説明は間違っているかもしれない)

 プラトンの後はアリストテレスが続いた。彼は、哲学を含む様々の学問を体系化し分野を作った。それまで、色々なことが発見されてきたけれども、学ぶうえでの道のりは不確かなままだった。そこでアリストテレスは大学を作って、弟子たちと学問を広めたのだそうだ。ただ、その後は宗教による抑圧があったために、哲学を含む学問、科学が発展できない状態が続く。

 そのころ世界はどうなっていたのか、という話になっていくらかの歴史についても聞いた。これまで話してきたギリシャ哲学は紀元前200年ごろの話で、その頃ギリシャ都市国家ばかりだったそうだ。国というほどのものではなく、都市単位で争ったり、協調したりしていたらしい。

 それを滅ぼしたのがローマ帝国。彼らは、軍事に長けていて色々な国を飲み込んで統治した。帝国というのは、侵略によってのみ経済成長すると信じていたらしい。そこでは科学や文化のための投資はなされない。しかも、宗教という決まりきったルールがあったために、哲学は冬の時代を迎える。

 ローマによる統治は紀元後400年ごろまで続いた。けれどその後は、内部分裂などが起こり延々と戦争が続く。そして1400年ごろにローマは滅びた。分裂して独立した国々は、なおも争いを続けていたが、1500年ごろ大航海時代と呼ばれる時代が訪れる。各国は我先にと植民地化を進めて、新しい土地、動植物、財宝などを奪い合った。

 それにより豊かになったが、人々は世界には知らないことがあるのだということを実感し始めた。コロンブスの新大陸発見もあって、宗教によって縛られずに科学をできるような風潮ができてきた。さらに、投資をして経済を成長させるという考え方も生まれ始める。

 そうして起きた科学革命の中にデカルトもいる。デカルトギリシャ哲学のあと、ようやく哲学の新しい考え方を持ち込んだ。それは「我思う故に我あり」という言葉に表される。彼は数学者でもあって、その哲学は論理的に進められているらしいので、読んでみるといいかもしれない。でもやたら難しいらしい。(内容については触れなかった)

 というところでいい時間になったので、話を終えた。そのあとは漠然とした不安について、あるいは目先の問題について少し意見を聞いたあと、家路についた。