呪い

 「聖☆おにいさん」のアニメ映画を見た。内容はごく普通で、これといって語ることもない。漫画をよく再現しているなとは思うけれど、退屈して半分くらい観たところで閉じてしまった。

 映画の中で、ブッダの額にあるのは長い毛を巻いたものだという描写があった。額から毛が生えるなんてことがあるのだろうか。なんだか怖いなと思って調べた。それは白毫(びゃくごう、またはびゃくもん)といってブッダの特徴の一つだそうだ。彼には、そういう特徴が32個もあるらしい。だから、当時の人はすぐブッダを見つけることができたそうだ。なるほどたしかに、現代でもそんな人がいたらすぐ噂になるだろう。

 白毫は単純な毛である、という説のほかに、第三の目だという説もあるらしい。瞑想で額に意識を集中することが多いから、そこにチャクラが溜まって…みたいな話。そのほうが、ファンタジー感あって良いと思う。巻き毛が生えてるよりは。

 ついでに出てきたブッダのエピソードを読んでみた。ある僧侶の話。貧しい男がやってきて施しを求めてくる。けれど僧侶は手持ちがなかったため断った。すると腹いせに「お前の頭なんて七日後に裂けてしまえ」と呪いをかけられてしまった。苦しんだ僧侶はブッダの噂を聞き彼に助けを求める。

 ブッダは僧侶に向かって「頭が裂ける呪いなどというものはなく、むしろそれはあなたが悟りを開くという予言だ」と言い聞かせたらしい。頭が裂けるということはすなわち、煩悩にとらわれている頭が裂けるということ。悪いことではない。呪いなんてものはなく、ただの悪口だというわけだ。

 さて、ただの悪口と言ってしまったけれど、現実に悪意のある言葉を投げかけられると、深い傷を負うことがある。それは呪いのように心に突き刺さり、いつまでもつきまとう。事あるごとに頭の中をよぎり、判断を鈍らせる。そういうものを呪いと呼ばず、なんと呼ぶだろう。深く刺さった呪いを、自分一人で抜き取ることは難しい。だから、ブッダが必要なのだと思う。