アコヤツタヱ

寝る前に、佐藤将のアコヤツタヱという漫画を読んだ。全部で三巻。古代の村で起きた戦争の話だ。アコヤという鍛冶屋の娘が、戦いに巻き込まれひどい目に会う。それでも強かに生き抜いていく…という話かと思ったらそうでもなかった。最後はブラックな部分が全開で、壮絶に弾けて、めちゃくちゃなまま終わってしまった。たぶん打ち切りだったんだと思う。アマゾンレビューでは星5ばかりだったけど、さすがにそれは過大評価だと思う。パワフルで引き込まれる部分はあったけど、名作だとは思えない。

このお話がどうなってほしかったのだろうか。何を期待しながら読んでいたのだろうか。そんなことを自問しながら布団に入った。思うに、不幸せな動乱の中で足掻く話が好きだけれど、まだもっと激しく燃えることができたのではないか、というところが消化不良なのだろう。アコヤは結局、無力だった。周りに振り回されて、いいようにされてしまった。そのあたりが、理不尽で哀れだった。納得できなかった。

やはり熟睡できない。明るくなってきた頃に限界が来て、やっと眠りに落ちた。

目を覚ますと、午後四時だった。さすがに酷いなと思って笑えた。鼻水が出ている。エアコンが効きすぎていたようだ。

近頃外食ばかりしていたので、台所に立つと決めていた。昨日買っておいた細切れ肉を焼いて、その上に麻婆豆腐の素をぶちまけた。最後にサイコロ状に切った木綿豆腐を投げ入れる。それが、自分に作れる一番まともな料理だった。

どんぶりいっぱいの麻婆丼を食べながら、タイムラインを眺めた。障害者が国会議員として当選した話。生活保護で支給されたお金をパチンコに使うことの是非。SNSで誹謗中傷を受けた人が裁判を起こした話。甲子園のエースを休ませた結果、試合に破れた監督の話。天気の子を観た人の感想。

それぞれが一つのテーマになりそうなのに、関心は中の下。すべてが他人事だった。しょうもない日曜日を過ごしている。土曜日はゲームばかりしていたから、今日はゲームはしないつもりだ。やることがない状態を作ることで無理やり自分が文章を書くように働きかけている。