2017-01-01から1年間の記事一覧

飲み会で考えること

霜の降りるあぜ道。マフラーで口元を隠した中学生とすれ違う。昔、通っていた弁当屋がいつの間にか消滅していた。ポスターや看板が消えて、制服を着た店員の姿もない。ただの建物になった。家に帰って掃除をする。左手の棚に、いつか作った星型多面体や、正…

​ 雑感想「正解するカド」

​ 正解するカドを5話までみた。政府の役人、ネゴシエーター真道の物語。異世界からやってきた二キロメートルの巨大なキューブに対して、日本政府はどのように動くかという話。でかいキューブが出てくるところはうおおっとなるがそこからはかなり地味な展開が…

夢と目的

震えながら服を脱ぎ、着替えた。空気が冷えている。しかし、家を出てみれば、思いの外日差しが暖かかった。空は透明で、雲は形なく薄っすらとしている。駅のホームでは、日陰の寒さが堪えた。老いた夫婦が、わずかな日向を求めて歩いて行くのを見ていた。 ほ…

再利用することから

大小の雨が重なって休日に出かける予定が三度流れた。挙句に二度も風邪に捕まった。マスクを付けて迎えを待っている間に、公園の樹を見つめた。半分以上雨に落とされうつむいた葉は、赤いすべり台、青いブランコ、黄色い鉄棒などカラフルな遊具に馴染む黄葉…

何のために勉強するの

シダの隙間に濡れたヒガンバナを見かけた。花弁と花心はいずれも血のように深い紅色で、葉は一枚もない。この攻撃性を感じさせる奇妙な花は、思いの外生命力が強いのかもしれない。植えた覚えもないのに庭を侵略し始めている。 最近、ゲームをするのを少し控…

かっこよくなりたいと思って生きている

スズムシの鳴き声。鳴き声という言葉でしか形容できないのが悔やまれるほど繊細な音。全力で叫ぶセミとは対照的だ。伸びた雑草が足のすねに触れる。白い繊維質に包まれた、珍しい格好の花が咲いているのを見つけた。ほつれかけた造花のような姿をしている。…

ワークライフバランス

梅雨の解けない鬱陶しい初夏にも、蛙と鈴虫の鳴く涼やかな夜がある。しかしそれも嵐がやってきて、一瞬で終わってしまった。昼まで寝ているつもりが、暑さにうなされて目が覚めた。偶然通りがかった子供神輿のかけごえが聞こえる。可哀想にと思うのは、不当…

動く人になりたかった頃の話

深夜、蒸し暑さに目が覚めて、ずっと閉めっぱなしだった窓を開けた。公園の街灯が黄色い光を放っている。虫の声はまだ聞こえない。草木の葉ずれの音が聞こえてくる。ふと家の樹に目が止まった。こいつは、こんなに大きかっただろうか。幹は腕の太さほどしか…

自分で言葉を薄めてしまうこと

毎日会社へ行く時に、近所の庭木に咲いているアセビの花を眺めている。小さな壺型の白い花を鈴なりに垂らしていて、ひと目でそれと分かるのに何年も気づいていなかった。桜のように華々しく咲いて散るものではないからだろう。よく調べてみると、アセビでは…

表現不能なものを褒める

椿の花が落ちていた。花びらになって散るわけではなく、まるで切り取ったように、根本からぽとりと落ちていた。調べてみると、それが自然の振る舞いだということがわかった。気がつけば、梅の花も散っている。部屋着を一枚減らした。灯油を使い切るために、…

余計なお世話

休日に早く目が覚めたけれど、なにもすることがなくて、ぼんやりしていた。座椅子の上で毛布にくるまっていると、睡魔がやってくる。テレビの音が遠い。これは昼寝すべきだと思った。雀のさえずりに、斜めに差し込む日差し。よれた毛布を直して布団に潜り込…

決められない事と直感と理屈

目を覚まし体を起こしてみると、カーテンの隙間から雪景色が見えた。この冬では初めてのことだ。外へ出ると、隣の家の垣根に使われている広葉樹が雪をかぶって、しな垂れていた。空気は冷たいが風はなく、雲は晴れて太陽は明るかった。通り過ぎた電車が突風…