2018-01-01から1年間の記事一覧

天の邪鬼のいなし方

あるときを境に寒さは消えて、桃と桜と梅の花が見られるようになった。日当たりの良い樹には若葉が出はじめている。畑の緑は蘇り、歩けば野鳥にも出くわす。何十回も繰り返してきた春だ。もう新鮮味など無いはずなのに、何かが始まろうとする空気は悪くない…

創作の糸口

あれから冗談みたいな雪が降り続いて、道路も屋根も真っ白に染まった。氷の結晶が車のガラスに張り付いている。滑って尻餅をついた。素手で雪に手をついたら、痺れるような冷たさだった。そんな寒さが収まってきた頃、何かを作ろうと決めた。何度もくじけて…

雑感想「神の子どもたちはみな踊る」

村上春樹の短編集を読んだので、いつにもまして雑な感想を書き並べることにする。 最初は「UFOが釧路に降りる」から始まる。読み終わった時「は?」って感じのする話。何も起こらなかった。男が離婚して、傷心を癒すために釧路に向かい、女とホテルに泊まる…

背理法と産婆術

何日も雪が続いたが、ここは雪国ではない。積もった雪が日をまたぐことは稀だし、三日もすればかすかなものになる。いまでは、降り注ぐ雪の粒も、数えるほどしかない。花壇を見れば、葉牡丹が咲いている。淡いクリーム色と濃い紫のコントラストは、どこか大…

雑感想「悪の教典」

さて。悪の教典の話。これはどうも、気が乗らなくて読むのに3週間くらいかかってしまった。なんで気が乗らないかってそれは、主人公の蓮実聖司がとんでもないサイコパスだからだ。容姿や振る舞いは魅力的だが打算的で、他人を陥れたり裏切ったりすることにた…